笑う経営 平成25年5月

引き続き長寿県の秘密

warau201305先月号でも話題にしました長寿日本一の長野県の秘密がどうも気になって、また取り上げたいと思います。

昭和40年代は死亡率ワースト県だったのに、こんな長寿県に成長したのはなぜでしょうか?決定的なことはわかっていませんが、これではないかという要因がいくつも挙げられています。きっと一つの要因ではなく、いくつかの要因が複合して効果を挙げているのだと思います。順天堂大学の白澤教授の説からいくつかをご紹介しましょう。(長寿県長野の秘密 白澤卓二著 しなのき書房)

要因1「自然に恵まれた暮らし」

長野県は農家でなくても野菜を育てる暮らし方が都会と比べて多く、栽培に身体を使うことや、旬の野菜の生命力を食すことがいいと白澤教授は分析しています。なるほど長野県は自然が多い。しかし、昭和40年代のほうが今よりもっと自然に囲まれていたはず。野菜も昔のほうが生命力が強かったといわれている。

要因2「標高が高い」

標高が高いことによりミトコンドリアが活性化するという。高地で気圧が低いと、肺胞中の酸素分圧が低くなり、ミトコンドリアは少ない酸素で効率的にエネルギーを発生させないといけないのでがんばるのだそうです。(ミトコンドリア:ヒトの細胞内にあって、酸素を使ってエネルギーをつくる組織。もともとは独立した生命体だったらしい)

要因3「ワインの産地は長寿地域が多い」

塩尻の人は喜びましょう。ワインにあう気候条件が健康にいいのだとか。

要因4「寒暖差の大きい気候が防御機構を活発化させる」

抵抗力がつくということ?

要因5「身近に温泉があること」

確かに温泉が近い。温泉に入ることでストレス軽減できるありがたい環境ですね。

要因6「信州人はまじめな気質だ」

長野県人は医師に言われたことを実行しようとするらしいが・・・。
ちょっと待って下さい白澤先生。要因1~6まで、今に始まったことじゃないじゃないですか!だったら昭和40年代からずっと長寿県でいいと思うんだけど。
そこで白澤先生、食生活の特徴をあげています。

要因7「野菜摂取量全国1位」

要因8「リンゴとブドウを皮ごと食べるのが健康によい」

うーむ。皮ごと食べるのが一般的とは思えない。むしろ農薬の害が心配。これもむしろ昔のこと。40年前は紅玉を皮ごと丸かじりしていました。

要因9「発酵食品を毎日食べる」

確かに信州味噌は信州の味です。味噌消費量も全国一です。でも、2位は秋田、3位は青森県なんです。

長野県と青森県(長寿ワースト1位県)の違いについては、青森県は食塩の消費量が全国1位だということを問題にしています。例の塩=脳卒中という方程式ですね。でも長野県の食塩消費量は堂々の4位なんです。(2位山形、3位秋田)

成長戦略

やっぱり何が長寿に貢献しているのか、今一つわかりませんが、確実に長野県は寿命の面では大きく成長したのです。

さて、いま政府で経済政策、アベノミクスがすすめられています。これは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢から成り立っています。

時代のニーズに即して新たな産業分野、事業分野に挑戦していくことは今に始まったことではありません。企業の成長と永続にとっていつの時代でも重要なことです。

今ここに昭和55年に発刊された経営書があります。(たくましい中小企業・商工中金編 同友館)そこに「80年代に生きる中小企業」と題してこれからの企業の基本的な経営方向はどうあるべきか次のように述べています。

「70年代の中小企業経営は、国際化の進展、需要の高度化、技術革新、高齢化社会など、さまざまな経済・社会環境の変化に適応していくことが重要な課題であった。80年代にはさらにエネルギー問題をかかえて、不安定の中に安定と発展へのチャンスを求める時代に向かって経営を進めていかなければならない。」

どうですか?今ならグローバル経済化、ネット化なども付け加わるでしょうが、今でも通用する話です。

そこで中小企業に対して、
「これからの厳しい経済・社会環境のもとでは、中小企業経営も新し時代に即応し、経営構造の変革を進めると同時に、戦略的視点にたって考え、判断し、行動することが必要となってくる」

つまりいつの世も環境はキビシーということです。そして常に変革していく努力なしには企業の長寿をかちとれないということです。

人だけでなく長野県の企業も長寿でありたいですね。長野県にも世界に誇れるものづくり企業がたくさんあります。シナノ(佐久市)はスキーのストックを作っていた会社ですが、スキー市場が縮小し苦境に陥ります。そのとき企業存続のために考えたのはストックというスキー用品を作るのではなく、ストック=杖と発想を切り替えました。その結果スキーから登山へ、さらに歩行補助用品へと展開し存続できました。

時代の移り変わりとともに経営スタンスを変えていかなければ経営が行き詰まることになりかねません。では経営を変革していくためにはどうしたらよいのでしょうか。

経営に求められることは、常に時代の変化を予測すること。タイムリーな対策を打ち出せること。そしてそれを実行できる的確な判断力、洞察力、行動力、そして危機感です。

常に経営をとりまく情勢変化を判断し柔軟な行動をとっていかなければならないのです。大変ですね。

その際ですが、何が儲かるか、という視点ではなく、「何をしたら喜ばれるか」というしてんで情勢を見るとよいと思います。

ベビー用品メーカー、フーセンウサギの渡辺社長は利潤追求(つまり金儲け)でやったきたところ病気療養で2年ほど会社を離れているうちに、すっかり考えが変わり、次のように悟ったそうです。
「企業は利潤追求だけでは駄目。心をこめて製品を作る。そこに生き甲斐が生まれ、喜びを感じる。そして結果として企業は成長する」
企業に成長をもたらすものは、結局のところ人間です。人間以外の何物でもないのです。

0.1%の成長意欲

warau201305-2前日と比べて0.1%成長したらどうなると思いますか?これがず~っと続くと1年で、1.44倍、10年で、38.4倍。これだけの変化が生まれるのです。

アベノミクスは目標2%ですが、1%成長でも実際は難しいといわれています。いきなり大きく変わろうとすると大変です。でもその10分の1。つまり、1000分の1くらいならできるのではないでしょうか?

『着実な成長』がコンセプトです。自分の成長にしばらくは気づかないと思います。でも、1年たつと「何か変わったなぁ」と実感が出るはずです。

成長は才能ではありません。日々変わろうとする努力が生み出すものです。
ぜひ、昨日とちょっとだけ違う自分を目指してみましょう。

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