笑う経営 平成28年6月

1.エコノミークラス症候群

201606-14月の熊本・大分地震で、未だに一万人を超える多くの避難民が避難所や車の中で不自由な生活を強いられている。被害にあわれた方々の一日でも早い復帰を願うばかりです。

特に今回の地震は強い余震がずっと続いている。そのため、建物の中にいるのが不安で、車に寝泊まりしている人も多い。

ただ車中泊はエコノミークラス症候群を発症するリスクが高い。すでに5月中旬現在で51人の発症が確認され、一人が死亡している。

エコノミークラス症候群は、飛行機のエコノミークラスが狭い座席で足が動かせず、長時間同じ姿勢でいるため、足の血液の流れが悪くなって血の塊ができ、その塊が血管を通じて肺の動脈まで運ばれ、最悪の場合、血管がつまって死亡することもあるという病気だ。

201606-2避難所でも普段よりも座ってばかりいて体を動かさずにいると発症する可能性がある。

東日本大震災では、地震の発生から4か月後までに宮城県内の32の避難所で検診したところ、足の血管から血の塊が確認された人が190人も見つかった。

日本循環器学会では、エコノミークラス症候群への注意を呼びかけ、次のような対策をとるよう案内している。

発症原因は、足を動かさないこと、脱水、足の怪我など。つまり座りっぱなしで水不足になるとあぶない。

予防策は、最も重要なことが、積極的な運動(歩行)だ。止むを得ず車中泊をされる場合や避難所の中で運動などがままならない場合には「弾性ストッキング」を適切な指導の下、使用することで予防効果が高まる。弾性ストッキングとは、足を適度な圧力で圧迫し、足のむくみを防ぐもので、その着用、適応、はき方、脱ぎ方、問題相談にあたる弾性ストッキング・コンダクターも養成されているという。こういったものも災害のための必需品に入れておいたほうがよさそうだ。

その他、
・長時間自動車のシートに座った姿勢で眠らない
・時々足首の運動を行う(足の指でグーパーしたり、足首を回したり)
・ふくらはぎのマッサージを行う(大事です)
・十分な水分を補給する
・可能であれば避難所で簡易ベッドを使用する
などが予防法として挙げられている。

 

2.デスクワークは危険?

座りっぱなしが、怖いエコノミークラス症候群を引き起こすとは意外だった。ということは、座りっぱなしで仕事をするデスクワークも危険なのだろうか。

長時間のデスクワークは体に良くないことは身を持って体験している。常に背中に違和感があり、こわばっている感じがして、とても気持ちが悪い。

どうにも辛いので、先日、知人に紹介されてある治療院にかかった。そこはちょっと変わった治療法をするところで、背中などは足で揉む。身体の上に乗っかって踏みつけるのではなく、足の指をグーパーしながら揉んでくれる。

先生曰く「不思議な身体をしています」長年のデスクワークの結果、どうやら背中が大変なことになっていたらしい。背中が凝り固まっていて、肩甲骨が動かない状態になっていた。

最近の研究によると、長時間座ることは命の危険もと、1日11時間以上座る人は4時間未満の人に比べて命を落とすリスクが40%高くなるそうだ。

座り方別では、前かがみに座っていると椎間板ヘルニアに、背もたれに寄りかかると逆流性食道炎を引き起こし、肘をついて座ると心肺機能低下の心配がある。椅子はやめて正座をすれば血行不良、女の子座りは歩きにくい骨格になる。

これじゃ怖くてうっかり座れない。だから今、立ったままパソコンを打っている。すでに欧米では立ったままデスクワークするのが割りと普通になっているそうだ。日本でも従来の机を排除した大手企業があるという。

某コンサルタント会社はかなり前から個人の机をやめ、空いているテーブルで立ったまま仕事をし、立ったまま打ち合わせや会議をするようにしている。もっともこれは座る健康リスクを考えたのではなく、仕事の生産性を考えてそうしたのだが、立ったままだとサッと集まれるし、サッと仕事に戻れる。会議も無駄に長くならないという利点がある。その上座りっぱなしのリスクも回避できる。

ユダヤ人はもともと立って歩きまわったり、体を動かしながら本を読んだり、何かを覚えたりするそうだ。

オーストラリアでも座りっぱなしの危険性が重要視されていて、小学校では一日30分は立って授業を受ける時間を設け、座っても立っても使える机を使用している。職場では労働時間の8割は座って仕事をしているが、一日2時間以上は立って仕事をするよう勧められている。「オーストラリア人よ立ち上がれ」といったスローガンまで叫ばれている。

科学的には、座っていると脚の筋肉が動かないため、体全体の運動量が落ちる、血液の循環が悪くなる、血液がドロドロになる。その結果、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、さらに糖尿病などのリスクが高まると考えられている。日本人は世界でもっとも長時間(平均7時間)座っている国民だというから、そういうことなら早急に労働環境を見なおさなければならない。

一方で英国から、座ること自体は悪くないとの研究結果が報告されている。座っていても、立っていても健康に影響はなく「長時間同じ姿勢をしていること」が問題だという。30分~1時間に1回の適度なサボリ、いや休憩が大事なのだ。

立ちっぱなし、座りっぱなしが良くないということだが、やはり軍配は立つ方にあがる。座って仕事をしていると、ずっと同じ姿勢が続きやすいし、眠くなりやすい。

その点、立っていると(現に今ずっと立って仕事をしているのだが)さっきから脚を伸ばしたり曲げたり、腰を動かしたり、片脚で立ってみたり、かかとを上げてみたりと、結構せわしなく動いている。血行も動いているような気がする。とても鷺のようにはじっと立っていられない。

最近は立ったまま仕事ができる「スタンディングデスク」がビジネスマンに注目されている。日本人も立ち上がろう。

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