あけましておめでとうございます
1未・成熟が始まる時
2015年、元旦。きっと年賀状で様々なイラストやら写真やら扮装やらの羊を楽しまれたことでしょう。年賀はがきの切手部分を見てください。いくつかパターンがあるようですが、マフラーをしている羊がいませんか?12年前の2003年の年賀はがきでは、ひつじがマフラーを編んでいたんですよ。12年かけて完成したという連続ものになっていたのです。
ところで、ひつじ年は未年と書きます。なぜ「未」がひつじなのでしょうか。実は子、丑、寅・・・に単にネズミ、ウシ、トラ・・・などの動物を当てただけなんだそうです。本来「未」には羊の意味はありません。ですから毎年動物としての字ではなく、干支の字を笑形にしてきました。今年は「未」だけではちょっと物足りないので「未来」とし、「羊」も笑顔で書かせていただきました。
生まれ年による性格占いもよく目にします。未年生まれの人は、人情味のある温かみを感じさせる人。従順で丁寧、几帳面、綺麗好き。美的感覚に優れ、情感豊か、なんだそうです。
その真偽はともかく、未と羊は無関係なのに、
「羊がいつも群れで行動するように、単独で行う労働より、組織の中に居る方が安心して個性を発揮する。」
なんて書かれていると、なんだかなぁと思ってしまいます。
では「未」とはどんな意味なのでしょうか。「未」という漢字は、木がまだ伸びきらない部分を表しています。伸びきらない小さな女のきょうだいなので「妹」となります。
十二支は植物の成長過程を12段階に分けたものです。種が萌えだす「子」から始まって、再び生命が種の中にしまいこまれ活動が停止する「亥」に終わります。中間の「午」で成長のピークに達した植物は熟成期間に入ります。その最初が未です。まさに未熟の状態です。その後、熟成は申を経て「酉」で完成します。「酒」の字はまさに熟成された飲みものを思わせます。
2大きな志
いまNHKの連ドラ「マッサン」で山崎蒸留所建設の場面をやっています。いよいよ日本で初めてのウィスキー作りが始まるところです。蒸留されたお酒が樽に詰められ、これから熟成が始まります。まさに「未」の状態です。
マッサンは日本人で初めてウィスキーの醸造技術を身につけた竹鶴政孝がモデルのドラマです。(ドラマでは亀山政春)竹鶴政孝は後にニッカウヰスキーを設立しますが、サントリーの創立者、鳥井信治郎(ドラマでは鴨井欣次郎)に協力して1923年、京都郊外の山崎(大阪府島本町)に日本初のウィスキー蒸留所を作りました。
あれから90年、ウイスキーのガイドブック、イギリスの「Whisky Bible 2015」でサントリーの「山崎シングルモルト・シェリーカスク2013」が世界最高のウイスキーに選出され、山崎は世界一のブランドになりました。そして日本は、アイルランド、スコットランド、アメリカ、カナダとならぶ世界の5大ウィスキーあげられています。
それも竹鶴、鳥井などの先駆者が逆境のなか、国産ウィスキーを作るという夢を捨てずに、一歩を踏み出してくれたおかげです。
世界に誇れる日本独自のウィスキーを作る、という創業者の志はとても大きいですが、最初の一歩は小さくても重い一歩だったでしょう。
それから一歩一歩、目の前の出来ること、やるべきことをやり続けた結果、90年たって信治郎の夢は大きく開花しました。
3小さな歩み
年頭は何かと計画したくなる時です。今年こそ、と何年も思い続け、すぐ挫折してしまう。それもお正月が終わらないうちに。そんな経験したことないですか?
目標が大きいのはいいのですが、それをストレートに実行しようとすると必ず無理がたたって頓挫してしまいます。続けるコツは「目的は大きく、実行は小さく」です。日々これならできるというくらい手段を小さくするのです。
ある人が今年一年禁酒しようと元旦に誓いをたてました。飲み友達の悪友が、それなら2年にして一日おきに飲んだらどうか、と余計な入れ知恵をします。本人その手があったかと、だったら3年にして毎日飲もう!。
ある日からいきなり禁酒だ禁煙だと革新的に自分を変えようとする姿勢は素晴らしいです。ただし続けばの話です。だったらこの落語のまくらのように毎日飲んでいたのを一日おきにするほうがよいのです。人によってはこれでも大変かもしれませんが。
減量のため毎日30分運動しようとしても、どれだけ続くでしょうか。きっと1日で終わりです。それより10分、1分、それでも大変なら10秒ならどうでしょう。まずは毎日やることを習慣づけることが先決です。
ハープを習い始めた時、先生にいわれました。5分でもいいから毎日ハープにさわること。私はその忠告を無視して、最低30分以上練習しようとしました。結果、全く弾かなくなりました。今はほぼ毎日1分弾くことにして再開し、続けることができています。毎日ではなく、ほぼ毎日というのもいいようです。
日本の企業は日常の小さな改善を積み上げて品質を向上させてきました。改善活動で成果をあげた日本製品の品質は世界一ではないでしょうか。小さな改善、改良の積み重ねが大きな変革を生むことが示されました。改善は英語「Kaizen」となって世界に広まっています。
まずは実現したいこと、身につけたい習慣、を書きだし、それに向かってやるべきことを、これならできるというくらい小さくして日課としましょう。鳥井信治郎流エールを送ります。
やってみなはれ!