笑う経営 平成25年6月

違う価値観に触れると

warau201306「人生で大切なことはたった二つしかない」

誰の言葉かわかりませんが、これを読んだ、妙にうれしくなりました。人が生きていく上で大切で注意しなければならないことはたくさんあるだろうと思っていたからです。かといって、大切なことは108個あるとか、いや350個あるとか言われても困ります。守りきれないし、第一覚えきれない。それだけで混乱し、ストレスでつぶれかねません。

だから「たった二つ」と聞いて、ほっとして心がスッキリしたんです。たったの二つですよ。楽じゃないですか。ではその二つとは何か?というと、

1.人間は一人一人皆違う、ということを知ること
 2.笑うこと

やった!って感じですよね。「笑う」はもうわかってますよね。笑う経営では笑いは繁栄の原動力ですから。あとは「一人一人皆違う」ことさえわきまえればいいんです。

とはいえ、自分と価値観の違う人に接すると、つい戸惑ってしまいます。否定したくなります。戸惑ったり否定するということは、「人は皆違う」ということが芯からわかっていないということです。
私も仕事をしていてそうでした。考え方の違う人に対して、それは違う、それはおかしいと批判し、ものすごく精神的エネルギーを消耗してしまい、それだけで疲れ切ってしまいました。

でもある時、悟ったんです。正解は一つじゃないと。だからいろんな考えがあっていい。どの考えも正しいんだ。

「私はそう思わないけれど、あの人はそう考えるんだね。それもいいね」
そう思ったら、価値観の違いを受け入れることができるようになり、違いを受け入れたとたんに、気持ちがとても楽~になりました。自分と考えの違うことを聞いてもストレスを感じることがなくなりました。むしろ違う価値観に触れることが楽しみにさえ思えます。

warau201306-2童謡詩人、金子みすゞが言っている「みんな違って、みんないい」の世界です。金子みすゞのまなざしは、相手を丸ごと受け入れる姿勢です。しかも違うことをうれしく思い、見えないものを大切にし「すべてのものと共に生きる」
それが金子みすゞの人生観です。

もう40年以上前になりますか、やすし・きよしさんが人気だった頃、漫才だけでなくコントなども面白くて、よくテレビを観たものでした。

その故横山やすしさんという方はかなり破天荒な方だったらしいです。よく言えば天才肌といいますか、とにかく変わった方だったそうです。そういえば、時々事件も起こしていましたね。

どのくらい変わっていたかというと、
「横山やすしさんの価値観を認めることができれば、この世に価値観を認められないような人はいない」
と横山やすしさんのマネージャーを務めた大谷由里子さんが言っています。つまり横山やすしさんは、この世で最も変わった価値観の持ち主だ、と思えるくらい変わった価値観の人だということです。

私たちは違う価値観の人を敬遠しがちですが、それはもったいないことです。自分と違う価値観の持ち主こそ付き合うべき人です。しかも変わっていればいるほどいいんです。そういう人は自分の枠を広げてくれるからです。自分の人間としての器を大きくしてくれるんです。

目的思考(現状打破の創造思考)には「ユニーク差の原則」があります。他との違いを大切にせよという意味です。自分の枠を超えるということは現状を打破することに他なりません。違う価値観の人とどんどん付き合って、新しい視点を持つことで、行き詰った経営状況を打破する新しい視点が生まれることでしょう。

さて、先の大谷由里子さんですが、この方は、その後、無名だった宮川大助・花子や、若いこずえ・みどりを売り出した、元吉本興業の凄腕マネージャーです。現在は講師を養成する研修会社「志縁塾」の社長さんです。先日松本で大谷さんとその11人の仲間たちの講演会があり参加しました。

大谷先生のお話はとてもパワフル。人とどうしたらうまくコミュニケーションできるかという話題では、「共通点を見つけてふくらます」ことがコツとお話されていました。

相手と共通点を見つけると相手との距離がぐっと縮まります。その次に大切なことは、自分と違うことを認め、受け入れることでしょうか。これでさらに相手との絆が太くなるでしょう。

是非、家族やお友達、お客様との人間関係作りに活用してみて下さい。ただその前に、先ず「相手を好きになる」という気持ちを持って下さい。だって相手を好きにならなければ、相手も自分を好きになってくれませんから。

だからお客様から好かれるには、どんなに嫌なお客さまでも、先に好きになることです。それを心と、言葉と行動(態度)で愛と感謝を表現してください。それにはお客様の価値観を受け入れることができなければだめです。

また大谷さんは、「ご機嫌な人に人は集まる」
とお話されていました。ご機嫌な人っていっしょにいると楽しいですよね。だから一緒に居たくなるのは当然です。一緒に居ると痛くなる人には、人は集まってきませんけれど。

これはまさしく笑う経営の理念に通じますね。「ご機嫌なお店にお客様は集まる」。ご機嫌なお店とはまさに「入り口が笑う」お店です。

「この人のそばにいれば、何かいいことありそう」「このお店にいけば何かいいことありそう」そんなオーラを出すよう行動してみましょう。

嫌われ仕事をやってみたら

ビジネスチャンスの見つけ方に「人が困っていることに着目せよ」という切り口があります。人が困っていることの解決こそ人から喜ばれる仕事です。しかしそれはえてして人から嫌われる仕事でもあるのです。

大谷由里子さんと11人の仲間たちの中に、唐鎌謙二(からかまけんじ)さんという雨漏り修理の専門家がいました。会場で唐鎌さんの本「自分を磨く嫌われ仕事の法則」(唐鎌謙二著 経済界刊)を購入しました。講演は、逃げの人生から一転、挑戦の人生へ転換し、成功した唐鎌さんの素晴らしいお話でした。

唐鎌さんは18歳のとき生まれ故郷を家出のようにして飛び出しました。それから条件のいい仕事を求めて様々な職場を転々としました。仕事が大変、嫌な人がいる、といっては場所を変え職を変えました。そしてついに30回以上転職を繰り返した結果、ある悟りに至りました。

「楽して儲かる仕事はない」「どこの職場にも嫌な人はいる」

そこで今度はあえてきつい仕事を選びました。儲かるけどきつい仕事です。それが大きな転機となり、雨漏りの仕事に出会います。雨漏りは原因の特定が難しい、修理に大変手間がかかり面倒くさい、そしてその割には儲からない、という、建築業界ではやりたがらない嫌われ仕事です。

唐鎌さんが、そんな雨漏り修理の仕事に取組み、それでも20年も長く続けられた理由は、修理をしたあるお客様が、あきらめていた雨漏りが完全に治ったことに感激し、唐鎌さんの手を握って大粒の涙をこぼして泣いたことでした。

そのお客様の姿に、唐鎌さんは気づきました。

「この仕事は本当に必要とされている」「この仕事には大きな社会的意義がある」と、唐鎌さんの「嫌われ仕事」に対する価値観が変わりました。

みんなが嫌う仕事こそ、実は人からやって欲しい仕事であり、人に喜ばれる仕事です。嫌われ仕事を喜んでやれば、自分は磨かれ、社会は良くなる。

嫌いなこと、人、仕事から逃げないで楽しみを持って取り組むことで、人生は開けます。事業も繁栄します。

そんな唐鎌さんが、「あなたは仕事をする上で何が一番大事だと思いますか」という問いに何と答えていると思いますか?それは「笑顔」です。仕事上だけでなく人生においても笑顔が一番大事と唐鎌さんは言っています。

人生で大事なことはたった二つしかない、「人は皆違うということを知る」ことと「笑顔」。間違いなさそうですね。

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