笑う経営 平成27年2月

1笑う駅伝

warau201502新年早々、笑う経営、笑顔のパワーが実証されました。第91回箱根駅伝です。
毎年ドラマが起きる5区、山登りと呼ばれる芦ノ湖への往路最終区で、またヒーローが誕生しました。

このところ5区は大変なことになっています。2007年第83回大会で、順天堂大学の今井正人選手が1時間18分05秒という新記録でゴールしたとき、テレビの実況アナウンサーが「山の神、降臨!」と絶叫して以来、5区のヒーローは山の神と呼ばれるようになりました。

今井選手の記録は当分破られないだろうといわれた驚異的なタイムでしたが、なんと2年後、東洋大学の柏原竜二選手によってあっさり塗り替えられてしまいます。この時の柏原選手のタイムは1時間17分18秒。その後柏原選手自身でこの記録は更新され、2012年第88会大会で、1時間16分39秒という記録を残しました。

そして今年、またしてもその記録破られました。青山学院大学の神野大地選手が1時間16分15秒で走り、3代目山の神となりました。しかも名前が「神の大地」。出来過ぎです。

それにしても山の神は段々カワイクなっています。初代の今井選手は厳しい形相で歯を食いしばって走っていました。いかにも神様らしく、力強く、やんちゃな感じでした。2代目柏原選手はぐっとマイルドになって、走っているときは苦しそうな表情ですか、優しそうな風貌のどこにこんな記録が出せる力があるのか不思議です。

神野選手はもう不思議を通り越して、あきれるしかありません。身長165㎝、体重なんと43キロ。監督のいうように、神というより山の妖精という言い方がふさわしい、可愛らしい男の子です。しかも軽やかな走り、走っている時の表情もどこか楽しそうなのです。

ご存知の方も多いと思いますが、青山学院は復路でも好成績をあげ、10時間49分27秒という、2位に10分以上の大差をつけて優勝しました。青山学院の選手は皆明るい雰囲気で、笑顔で走っている選手が多かったのが印象的でした。

それもそのはず、青山学院の原監督が打ち出した箱根駅伝のテーマが、自分の走りを楽しんで、ワクワク、ドキドキさせるレースをしよう、だったからです。名付けて「ワクワク大作戦」。

これまでは「1秒を削り出せ」がスローガンの東洋大学や、叱咤激励、スパルタ式イメージの駒澤大学のように、辛くても、苦しくても耐えて耐えて、精神力で苦難を乗り越えろ式が当たり前でした。それと正反対なのが、喜びながら、楽しみながらという青山学院。

駅伝競走というものをどうとらえるか、どう取り組むかの競争だったとも言えます。そして、難行苦行タイプが敗北したのです。

もちろん原監督はただ楽しんで走らせただけで勝った訳ではありません。ビジネス手法を選手育成にふんだんに活かしました。

実績よりも素質、表現力、イケメンであることをも考慮した選手の発掘。明確な目標設定と、徹底した目標管理。生活のリズムを整え、生活習慣全体の改善と健康管理。伝統的なトレーニング法にこだわらない新しい手法の導入。選手の自主性を引き出す指導。選手との心の交流を図る。
など、生活全体を考慮した選手育成法を土台として、その上に、「笑顔を忘れないこと」が加わり、ワクワク大作戦へとつながっていきます。

 

2楽しみのパワー

会社でもお店でも繁盛しているところは、ワクワク感、ドキドキ感を与えてくれるところです。社員が仕事を楽しみ、ワクワクしながら仕事に取り組むことで業績を挙げているところ。お客様にワクワク感を与えることで売り上げを伸ばしているところです。

一番わかりやすい例はディズニーランドのようなテーマパークです。テーマパークはワクワクが命の商売です。ワクワクがないテーマパークなんて誰も行きたくないですよね。

病院だって、暗い、痛いだけのイメージだったら、仮に治療技術があったとしても行きたくありません。それより明るく清潔で、治る・・・ような気がする、気にさせてくれる、たとえガンでも、軽~い病気のように思わせてくれる病院のほうに行きたくなります。

学習塾も、「そんなことじゃ受からないぞ!」と脅されて、ビシビシしごかれる塾より、楽しく学べて、受かる気分にさせてくれる。自信をつけてくれる塾の方がいいに決まってます。

水戸黄門のテーマソングのように、「ああ人生に涙あり」とばかり、生きていくのは辛いもの。だけど泣くのが嫌だから進むんです、といって生きるのと、同じ人生、楽しんで生きるのと、どっちを選びますか?

売れない、不景気だとぼやきながらやっているお店と、世の中不景気かもしれないけれど、ウチの店は面白いよ、お客様を楽しませてくれるお店と、どっちに行きたいですか。

厳しい、辛いだけの陸上部より、走りが楽しい、楽しく走って結果がでる陸上部のほうが人は集まるのです。

warau201502-2青山学院の勝利の秘訣は、ビジネスにおいても成功の秘訣として学ぶことができます。というのも原監督は、高校時代から駅伝の選手でしたが、実業団に入って怪我のため、早めの引退を余儀なくされ、その後は中国電力で営業マンとして活躍していました。

縁あって青山学院の監督に就任しましたが、自分は陸上選手というよりビジネスマンという自覚がありました。そこで陸上選手としての経験ではなく、ビジネスで培ったノウハウを選手育成に応用することにしたのです。そして11年目で計画通り、というより計画より1年早く優勝を果たしました。

襷を次々とつないで、チームで力を発揮するのが駅伝競走ですが、家族も親から子へ、先祖から子孫へ、学校も会社も先輩から後輩へ。先人から後進へ引き継いでいくという点で駅伝と同じです。

人間の体も古い細胞から新しい細胞へとバトンタッチして、次々と入れ替わっています。そのスピードは1日5,000億個。人体の60兆の細胞はおよそ4ヶ月で入れ替わる計算になります。

細胞をもっと細かく見ていくと、分子になり原子になり、陽子だとか中性子だとか電子といった素粒子と呼ばれる世界になります。人の体を形作っているものは、つきつめると素粒子になります。

このレベルになると、いろいろ面白い現象が見られます。例えば「電子」は、誰も見ていないとどこにいるのかわからないけれど、誰かが観察しようと目を向けると、そのときだけ一定の軌道を安定して動くのです。まるで親が見ているときはお行儀よくしていて、親が見ていないと、どこで何をするかわからない子供と同じですね。

ある治療家によると、人が楽しんでいる状態のときには、「楽素」という素粒子が出現し、それが脳や神経を作っている電子の動きを変えるのだそうです。楽しむことは、決して気分だけの問題ではなくて、実際に素粒子が変化し、電子の動きが変わり、脳や神経の状態が変わり、精神状態や肉体的な動きが良い状態に変わるというわけです。

それはそうと、このニューズレター、楽しんで書いているだろうか・・・?

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