笑う経営 平成27年5月

日本語は美しい

warau201505英語をはじめ様々な語学講座を放送しているNHKラジオの第二放送を聴いてみた。それぞれ特徴があって面白い。

英語系の番組はテンションがやたら高いものが多い。講師のしゃべり方が必要以上に元気だし、騒がしいほどの効果音をガンガン鳴らす。明るく楽しく、飽きさせずに勉強させようという気持ちなのだろう。にぎやかでいいのだが、ちょっと騒がしすぎて、うざったい。スペイン語もややその傾向がある。

かと思えばドイツ語講座のしめやかなこと。講師の話し方も上品で、ゆっくりと落ち着いている。効果音もピアノがシンプルに鳴るだけなのが、寂しささえ醸し出している。特ににぎやかな英語の講座の後だと、ドイツ語講座がより暗く感じる。

中国語、韓国語、ロシア語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語と、適当に聞き流してみると、英語こそところどころ知っている言葉が聞こえてくるものの、他はまったく意味をなさない、単なる音声としてしか聞えてこない。

深夜、ラジオのチューニングをいじっていると、さらに様々な聴きなれない外国語の音声が流れてくる。奇妙なイントネーションのその音声は、確かに人がしゃべっている言葉なのだが、これが本当に意味のある言葉なのだろうか、という疑問さえ起こる。

ならば日本語はどのように聞こえるのだろうか。すずめがさえずるように聞こえるらしいよ、と聞いたことがある。日本語も知らない人にとっては奇妙な音声でしかないのだろうか。

そう思って、意味を解さず、純粋に音声として聞こうと試みたが上手くいかない。日本語を理解する耳には単なる音としてでなく、どうしても意味を持った言葉として入ってきてしまう。試しにやってみて欲しい。きっと意味を抜きにして音としてとらえることはできないと思う。

一度ラジオを何気なく聞いていた時、日本人の話なのに一瞬韓国語のように聞こえたことがある。よく聴いてみたら東北のなまりが強い言葉で話している日本語だった。

言葉の響きの点で、名古屋弁はロシア語に似ていると言われている。名古屋弁は、おみゃー(お前)、ビャートのきゃーり(バイトの帰り)、エビフリャーちょーだゃぁ(エビフライください)など、やたらみゃー、りゃー言う。ロシア語も、ミニャ(私の)ニェット(いいえ)、ダスヴィダァニャ(さようなら)など、ミャー、リャー、ニャー音が多い。

そんなことより気になるのは日本語の聞こえ方だ。どうやら欧米人からすると日本語は「美しく」聞こえるらしい。 ポーランドのワルシャワ大学(ちなみにワルシャワは英語的にはウォルソー)から松本市の信州大学に留学中のある学生は、日本に関心を持ったきっかけが、高校時代に観た日本のドラマだという。それも、
「言葉の響きの美しさに驚いた」
のだとか。なんていうドラマで、どんなセリフを聞いたのか是非知りたい。

NHKの連続ドラマ「マッサン」に出ていたシャーロット・ケイト・フォックスさんは「郵便局」という日本語が好きだと言っていた。「ゆーびんきょく」という言葉のリズムが面白く聞こえるのだろう。

外国人にとっては「トヨタ」「はやぶさ」「かわいい」などの言葉を聞いたり話したりするのも楽しいそうだ。歌を歌っているような感じがするらしい。

日本語は「ん」を除けば、子音だけの言葉がなく、一音ごとに必ずa(あ)、i(い)、u(う)、e(え)、o(お)の母音が付く。特に大和言葉は一つ一つの言葉に母音がよく響くので日本語は美しく聞こえるのだという。

   うさぎ追いしかの山 こぶな釣りしかの川

童謡、唱歌が心に沁みるのは大和言葉が多いせいなのだろうか。ちょっと時期が早いけれど「夏は来ぬ」も美しい。

   卯の花のにおう垣根に ほととぎすはやも来なきて
   しのびねもらす 夏は来ぬ

源氏物語が好きだった母はよく「そこはかとなく」という言葉を好んで使っていた。源氏物語には「風涼しくて、そこはかとなき虫の声々が聞こえ」と使われている。

「梅の香りがそこはかとなく漂う」などと使う。母の場合は梅の香のような馨しい香りでなく、家庭内でときどき不幸にして湧き起こる、というか漏れ出す、招かれざるあの匂いを鋭い嗅覚でキャッチしたときに使っていた。

「そこはかとなく」を友達に使ったら、文化度の高さに驚かれ、いたく感心されたことがある。大和言葉の持つ威力だろうか。

日本語には、日本古来の大和言葉の他に、中国由来の漢語、中国以外から来た外来語がある。これらを使い分けることで、表現が豊かになる。何かを始めるとき、「それでは開始します」と表現できるし「それではスタートします」でもOKだ。もちろん大和言葉で「それでは始めましょう」とも言える。

堅い漢語や冷たい外来語が飛び交うビジネスの現場を少しでもなごませたり、お客様とのコミュニケーションでは心に響くおもてなしをしたいもの。大和言葉による美しい日本語をつとめて活用したいものです。

お客様を迎える大和言葉としては「ようこそお運びくださいました」「お待ちしておりました」「おあがりください」「ごゆるりとおくつろぎください」などがある。(詳しくは、参考図書 高橋こうじ「日本の大和言葉を美しく話す」東邦出版刊)

 

あいさつ上手

コミュニケーションの基本は言葉選びと笑顔。営業や商店だけでなくすべてのビジネスに共通です。

「こんにちは」だけでなく、「今日はいい天気ですね」と一言付け加えることで打ち解け、話が続く。「いい天気?わかってるよ。それがどうした」という人には…さらに工夫が必要ですね。

「お悔み申し上げます」だけでなく「看病が長かったからさぞお疲れでしょう。ゆっくりお休みくださいね」などとねぎらいの言葉を続けましょう。

相手のことをいつも気にかけているということを表現する。目上の人には「いつもおうわさしております」。頂き物をした相手なら「先日は結構なものを頂戴しましてありがとうございました」。ついお礼を言うのを忘れがちなので注意したい。

逆にお礼を言われて、「あれ、何かあげたっけ?」と戸惑ってしまう時もある。

決まり文句一辺倒でなく、コミュニケーションを豊かにする大和言葉を使えばあなたの会社、お店の印象はぐっと変わる。

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