笑う経営 平成25年12月

うらない話

warau201312「うれてないのにうれてしまった」とはこれいかに?

もう一つ「うれているのにうれてない」そのココロは?

そんなことあり得るんでしょうか。これ、果物を売る話です。最初のは人気がある果物で、「熟れてないのに売れてしまった」です。次のは人気のない果物で、「熟れているのに売れてない」です。では、

「うらないのでうれてしまった」は?

そう「売らないので熟れてしまった」ですね。でもこれ、「売らないので売れてしまった」としても正解なんです。

今度は営業の話。「売ると売れない」「売らないと売れる」。ナニコレと思われるかもしれませんが、笑う経営を実践している人にはわかりますよね。販売の原理、営業の鉄則です。

商品を売ろうとすると、お客さんは警戒してしまいなかなか売れません。売ろうとすればするほど相手は引いてしまい、余計売れなくなるということを言っています。

ならば「商品を売ろうとしないこと」。これが営業の鉄則となっています。では何を売るか。

商品を勧めるのではなく、商品の良さを売り込めといわれます。商品を使って喜ばれた事例や利便性、耐久性、美しさなどの価値をアピールする。お客様に買ったあとの変化をイメージさせるなど、要するに「買うといいことあるよ」と思わせることが大事だということです。

でもこれは初級。この段階ではまだ「商品を売ろう」という姿がかなり見えています。

次によく言われるノウハウは「自分を売り込め」ということです。お客様に自分を売り込んで気に入ってもらい、気心を通わせ、信頼を得る。まず人間関係を作ってから商売の話をせよ、ということです。

少し商品を売ることから離れました。これは結構効果が上がる販売態度です。ただ問題は、そもそもお客様は人柄の良い営業マンを必要としていないことです。商品を買おうとしている時であれば、嫌な営業マンより気持ちの良い営業マンから買うことに越したことはありません。

買いたいと思った時は別ですが、特に買いたいと思っていないのに下手に営業マンがいい人だと、義理で買ってあげなければ、とお客様にはプレッシャーになってしまします。営業マンも「買ってもらった。売らせてもらった」ようで、後味がすっきりしません。

しかも気に入ってもらおうという行動にはどうしても「買ってもらうために」という下心が隠れています。それが見えた途端、お客様は引いてしまうでしょう。ですから「自分を売り込む」売り方はまだ中級です。

うらない売り方

では上級はどんな売り方なのでしょうか。その前に、ある営業の自主勉強会でこんな練習をやりました。

普通セールストークというのは売り手はどうしても自分の商品の話題へ誘導しようとします。売るために話をしているのだから当たり前です。単に世間話をしていても営業活動としては無駄話です。社に帰って営業部長に叱られます。

いかにスムーズに商品につながる話に持って行き、商談に結び付けクロージングするかが上手いセールスです。だと思っていました。ところがこの勉強会では、それをしてはならないというのです。

セールストークでは自分の売ろうとする商品の話をしてはいけない。話題を商品の方に誘導してもいけない。まず売ろうとしていることを完全に忘れなさいというのです。といって自分を売り込む話もしないのです。商品も売らない、自分も売り込まない。もちろん単に世間話をするのでもありません。

どんな話をするかというと、お客様の欲求を発見するような話です。2人でペアになって、5分間で相手の欲求を見つけ、それを膨らませ、引っ張る。という練習をしました。何回かやりましたがどうしても売ろうとしてる商品に誘導したくなります。それに相手の欲求を聞いているだけで5分はすぐに経ってしまいます。なかなかうまくできませんでした。慣れてくると5分もあれば相手の深い欲求を引き出せるようになるらしいのですが。「売ろう」という裏がない売り方「裏がない・売らない」売り方こそ心がける売り方です。

買う人を売る

さて、上級の売り方に戻りましょう。商品も売らない、商品の良さも売り込まない、自分も売り込まない。上級の営業マンが売り込むのは、

「お客様」です。

誰しも最も関心のあることは自分のことです。お客様にお客様がいかに良いかを話すこと。つまり「お客様にお客様を売り込む」。そしてお客様のためにできる最善のことをする。これが究極のセールスです。

先ず「美点発見」です。お客様の良いところを見つけてあげること。しかも相手が気づいていないことだとなおよい。それを言葉で相手に伝えてあげることです。

次に「欲求発見」。お客様が本当に必要としていることを引き出し、言葉にして伝える。欲求を発見したらお客様の欲求を認め、その実現へ背中を押してあげることです。その時の決まり文句

「すばらしい!それ、やりましょう!」

でお客様の欲求をPushします。お客様の欲求の延長線上に商品があります。ここではじめて商品が登場します。それが必ずしも自分が売ろうとしているものとは限らないかもしれませんが、そこはお客様のためには何でもやる精神で対処することが必要です。

売ったあと

純粋にお客様の喜びや幸せを考えた本当にうらのない売り方だったのか。それとも売らんがための「裏がある売り方」だったのか、その違いがはっきり現れるのは「売ったあと」です。

うらのない売り方であれば、商品を買ったお客さんが本当に喜んでいるのか、商品を使って欲求を実現しているかが気になります。本当は売るのが目的だったら、売りっぱなしで平気です。

売った後もお客さんのことを大切に思う。本当に喜んでもらっているだろうか。
「その後いかがですか?」
と一言言ってみることがまた大きな違いを呼ぶことでしょう。

思いを込める

笑う経営のテキストの一つ「繁栄の法則」から「祈りを込めて生きる」の章を振り返ってみましょう。

商品を売る時は祈りを込めることが大切だと説かれています。靴下を売るのであれば、たくさん売れて欲しいと思うだけでなく「この靴下を履く人が健康になりますように」と祈りを込めて売る。喫茶店なら「お茶を飲んてくれた人に安らぎがありますように」と祈りを込めてお茶を出す。パン屋さんなら「このパンを食べた人は健康で、心も安らぎ活力が湧きますように」と祈りながら作る。

著者の北川八郎さんは陶器を作る時、「この器を手にする人に、神の恵みがありますように。病の人は病気が軽くなりますように。怒りの人は怒りの森から抜け出られますように」と祈って作っています。

ある宝石店では宝石に感謝の光を送るように心で手を合わせると「売ろうとしなくても売れてしまう」そうです。ただし、そうすれば売れるから、という気持ちで祈ったり、手を合わせるのは本末転倒です。買っていただいた人へ純粋に想いを込める「うらない心」で、売ることです。

 

繁栄の法則はサイト「笑う経営」検索で購入できます。本誌「笑う経営」は、笑う経営又は原山邦章税務法律事務所検索HPで読めます。どうぞご覧ください。

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