笑う経営 平成26年10月

何事もじっくり

warau201410-1あなたの家ではご飯を何で炊いていますか?ある人は電気炊飯器の設定があまりに複雑で、あれこれイジっているうちに壊してしまったと、最近はご飯を炊くにも難しい時代になってしまいました。

本来ご飯を炊くなんて素朴なものです。キャンプに行けば、薪を集めた火に飯ごうをかけただけでもおいしいご飯が炊けるんです。

私は東日本大震災の翌日から電気炊飯器を使うのをやめました。電気依存を少しでも減らすため、圧力鍋を使ってガスでご飯を炊くようにしました。電気炊飯器だとスイッチを入れてから1時間近くかかりますが、圧力鍋なら強火で10数分、蒸気弁が上がり圧がかかってから弱火で3分、火を止めて蒸気弁が下がるまで約10分、合計23分くらいで炊き上がります。電気を使わず、短時間で美味しいご飯が炊き上がります。

ところが、若杉友子さんという、食養を一生懸命学んで今京都で自給自足の生活をしている77歳の“ばあちゃん”は、圧力鍋なんてダメと言います。食養(マクロビオティック)は、桜沢如一氏が提唱した陰陽バランスを考えた食事を実践することで健康長寿を目指す思想で、玄米食を基本としています。

その若杉ばあちゃんに言われてしまいました。(本を通じて)

「玄米なら圧力鍋という人がいるけれど、それはぜんぜんダメ!」(「若杉友子の一汁一菜食養生活」主婦と生活社刊より)

若杉ばあちゃんによると、圧力鍋だと高温高圧で大事な栄養素が破壊され、消化吸収が悪い食べ物になってしまい、いい血液ができず、病氣も治りにくいというのです。

ショックでした。圧力鍋は、電気を使わず、少ない火力で済み、美味しく調理できる最良の方法と思っていたのに。では調理器具は何がいいかというと、ばあちゃんは、土鍋と鉄鍋、鉄のフライパンを薦めています。アルミ鍋やテフロン加工のフライパンは禁物です。そういえば土鍋ファン、けっこういますよね。

土鍋は熱伝導が悪いので金属製にくらべゆっくり火が回る。それで素材本来の旨みや甘みが引き出されるのです。遠赤外線効果でじんわり火がとおり、適度に水分が抜けてふっくらと仕上がる土鍋のご飯は、消化吸収の良い、造血力のあるご飯になるのだと、ばあちゃんは力説します。
そして・・・。

warau201410-2買いました!四日市産の万古焼の炊飯用土鍋。やや強火で約15分火にかけ、12分蒸らすだけ。火加減いらずなので圧力鍋より簡単。時間も圧力鍋とさほど変わりません。

若杉ばあちゃんの次の言葉には参りました。

「だいたい短時間で調理しようというのが間違っている」

早くやろうという魂胆がいけないのだと。

 

社員の年齢構成のバランス

笑う経営でも急成長は禁物でしたね。急がば回れです。塚越経営哲学では新卒採用を原則としています。新入社員は戦力になるまで育てるのに時間とお金がかかります。中途採用すれば手っ取り早く即戦力を得ることができます。

あえて遠回りをするのは、定期的に新卒採用をしていかないと、社内の年齢構成のバランスが崩れるからです。

年齢構成は人口構成と同じように、年齢が上がるにつれ少なくなるピラミッド型又は台形型、若手と中堅が同じくらいの釣鐘型、中高年のほうが多く、若年層が少ない逆ピラミッド又は壷型があります。骨董品の世界なら中島先生が「肩が張り出していて、実にいい形ですねぇ。大切になさって下さい」と褒めるところですが、企業の年齢構成としては最悪の形です。

社員の年齢構成の理想は「緩やかな台形型」。企業の活力がもっとも高まる適正な平均年齢は35歳と言われていますから、平均年齢35歳前後で、人員構成が緩やかな台形であることが理想の社員構成となります。

ところが、大手企業でも代表的な人員構成は、50代がやや多め、40代が極端に多く、30代は少なめ、20代は極端に少ないという構成だそうです。いわゆる「壷型」です。

典型的な壷型で、人材確保の苦慮している業界があります。バス会社です。バスの運転手に必要な大型2種免許は普通免許を取ってから3年以上経っていないと取得できません。ですから高卒を採用してもすぐには運転手としての業務に当たれないのです。それでバス会社はこれまで運転手としての新卒採用は行ってきませんでした。

ところが、このところ運転手の高齢化が進み、このままだと運転手不足に陥り、適正なバスの運行ができないおそれが出てきました。

アルピコ交通(本社長野県松本市)の場合、運転手550名のうち、40代~60代が8割を占めています。このままいけば、利用客も運転手も100円パスを持った人たちばかり、なんてことになりかねません。

そこでアルピコ交通では昨年から中途採用者に対する免許取得補助金制度を取り入れました。また来年4月からは初めて、高校も含めて新卒者を採用することに踏み切りました。約30万円かかる大型2種の取得費用は、会社が全額負担することになります。

バス会社としては免許のない社員を抱えて育てるのは「遠回り」です。でも塚越経営哲学では、遠回りをすることで、企業に真の実力が身につき、社員と会社が理想的な形で成長していける、と説いています。笑う経営でもこの考え方を見習いたいと思います。

「企業は永続させてこそ価値が有る」と考える「年輪経営」は、急成長を避け、毎年少しずつ成長していく形を築くことです。それが年齢構成のバランスをとることに他なりません。

一方、国の人口構成が釣鐘型から壷型になる中で、一人一人が職業人として長寿になることも求められてきます。プロスポーツの世界は現役で活躍できる期間が短いですが、プロ野球、中日ドラゴンズの山本昌投手がこのほど49歳で先発勝ち投手になりました。プロ野球史上最年長の勝利記録を64年ぶりに塗り替えました。

 

芸能人じゃなくても歯は命

「年を取る」という言い方は、年々老けていくばかり、という寂しいイメージが漂いますが、「齢を重ねる」と言えば、人間としての厚みが増していく感じがして、年々益々充実していく気になります。

「齢」という字に「歯」が使われていますが、寿命と歯は密接な関係があります。WHOはアルツハイマー病を引き起こす要因の一つに「歯の喪失」をあげています。また、合わない入歯をしている高齢者は、良好な入歯の高齢者に比べ認知症の割合が高いといわれています。

信州大学の有路憲一准教授は、健康長寿の秘訣として噛むことを挙げ、よく噛む(一口30回)ことの効能を5つ示しています。warau201410-3

しいのみ学園創始者の曻地三郎氏は母親から一口30回、よく噛んで食べなさいという教えを100年以上守り通しました。結果、幼少の頃は病弱でしたが、106歳、最後まで現役で活躍できました。土鍋で炊いたご飯も30回以上、噛めば噛むほどおいしくいただけます。

よく噛んで健康長寿も現役寿命も永く齢を重ねていきましょう。

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